椅子は、かけるもの。
けれど、だれもかけていなくても
美しいと思わせる椅子がある。
ミッドセンチュリーの英国製。
その椅子を復刻し、
現代にプレゼンスしたのは、
ファッションデザイナーの
マーガレット・ハウエル。
アーコール社製の
その椅子には
著名なデザイナーの
華々しさはないけれど、
質のいい職人の作った
堅牢な機能美がある。
長く使えるもの。
多少ほころびても、
くたびれても、捨てられないもの。
「よいもの」であること。
それがマーガレット・ハウエルのデザインだ。
Good design is timeless.
ひとつの肩書きにはおさまらず、
まさに、職業「寺山修司」だった彼が、
大の競馬好きでもあったことは、
よく知られていること。
おもしろいのは、
寺山流馬券の買い方。
クセのある馬を気に入っては
手元の数字を組み合わせて
当てずっぽうに買う。
だから寺山は結局
いつもゼロに賭けた。
「儲かってますか」という質問には、
こんなふうに返したという。
では、あなたがこれまでに見た芝居で、
泣いたのと笑ったの、どちらが多いですか?
競馬ファンが握りしめているのは、
馬券なんかじゃない。
自分自身の過去と未来だ。
ファン層は30代女性を中心。
そのライブには
著名なタレントや女優まで
足繁く通うという
シンガーソングライターがいる。
浜田真理子。
ちいさなジャズバーで
始まった彼女の音楽は、
いつしかせつない言葉たちを
味方につけた。
クチコミで広がった噂に、
メジャーデビューの声もかかった。
けれど彼女は、いまも松江で、
好きな音楽をして、
ふつうのひとと同じように暮らす。
東京に行かないのは、
東京でなくても、できるから。
本物というのは、やっぱりすごい。
育てた上げたマラソン選手は、
きっともう数え切れない。
有森裕子も、高橋尚子も
あの監督がいなければ、
メダルはなかったと口をそろえる。
それが、小出義雄監督だ。
小出監督は、
昨今のマラソンブームの立役者でもある。
都知事に東京マラソンを提言し、
ウェブでは市民ランナーを
指南する「小出道場」を運営する。
「一般のひとに、マラソンの楽しさを」。
金メダルのつぎに見た小出監督の夢は、
あっという間に叶った。
いまは2度目の金メダルの夢を見ている。
とにかく好きなんだな、かけっこが。
監督、つぎのオリンピックが、
今から楽しみです。
宇宙飛行士、野口聡一さんは、
小学校1年生のとき文集に
「ロケットに乗りたい」と書いた。
初フライトは40才。
野口さんは30年以上も、
夢を追いかけつづけたことになる。
ただ毎日、ちいさな目標を
掲げてクリアする。
その積み重ねの延長に、
宇宙の夢も見えてきた。
100年後、宇宙飛行士は
めずらしくない職業になる。
僕は歴史に名を残すより、
宇宙への挑戦を続けた
名もなき宇宙飛行士のひとりでいい。
そうか、情熱が夢を追いかけているのだ。
たとえばあなたが、
うまいスピーチや
企画書の書けるひとを、目指すなら。
ことばを、豊かで美しく、
広がりと厚みのある
表現に変えてくれる
テクニックがある。
たとえば、
古今和歌集の時代から
いまも連綿と続く掛詞。
平成のレトリックなら、
広告のキャッチコピーに、
それが見つかる。
ネクタイ労働は、甘くない。
コピーライター、眞木準。
クールでシャレた
コピーをつくる天才だった。
いまでこそ有機野菜は、
安全でおいしい、
栄養価も高いと人気だが、
40年前は、そうではなかった。
お手本を里山の生態系に、
金子美登さんは
独自の有機農法を実践した。
利潤を追求するより、
「見事に循環している自然」
に含まれること。ひとも野菜も。
生産量が少ない
金子さんの野菜を
味わえるのは地元のひとだけ。
だから、いいのだ。
全国各地に、金子方式ができれば、
日本が抱えるさまざまな問題も
かわるだろうと
金子さんは思うから。
21世紀は耕す文化。
工業や製造業にはない感動が、
まだ農業にはあると、鈴木さんは言う。