坂本和加 10年12月25日放送
画家、モーリス・ユトリロ。
その人気とは裏腹に、
ユトリロの生涯は、
なんと不幸だったのだろうと
ひとは、思うことだろう。
母に愛されず、
10代でアルコール依存症になり、
治療のために始めた絵画が、うけた。
その後、ユトリロは
母に言われるがまま
軟禁状態で画を描くことになる。
クリスマスの画も描いている。
きっと、母親に乞われるままに。
けれどユトリロは
母が、世界のすべてだった。
「シュザンヌ・ヴァラドンと呼ぶわが母は、
気高く、美しく、善良な女である」
幸福か不幸か。それは他人が決めることではない。
アメリカでは
戦場の天使と呼ばれた
クララ・バートン。
その肖像はみな、
シンプルな黒いワンピース。
彼女に、一度でも
華やかなクリスマスが
あったのだろうか。
そう思わせるほどクララは、
その生涯を「人を救うこと」に費やした。
30代で南北戦争に赴き
負傷者救済の経験から後、
アメリカ赤十字の創始者となる。
引退後は、応急手当協会を設立。
自宅を改装してまで
応急処置法と救急箱の普及進めた。
90歳で亡くなるまで。
クリスマスに生まれた
彼女の職業は、慈善事業家。
生き方そのものが、
サンタクロースだった。
忘年会にクリスマス、
12月は、なにかとお酒を
飲む機会が多いけれど、
「12時までには寝た方がいい」
と、客観的に自己分析し実行していた
18世紀の自然科学者がいる。
アイザック・ニュートンが、そのひとだ。
それは、12時以降に起きていると
一日中研究をしていた日よりずっと
翌日の疲れが残っていると、
ある日気づいたため。
朝は、紅茶の代わりに
オレンジの皮を煮出した湯に
お砂糖を入れたものを飲むことが
ニュートンのもうひとつの健康法で、
実際、彼は、85歳まで生きた。
きょうは、クリスマス。
ニュートンの誕生日でもある日です。
クリスマスの
ドイツ菓子といえば、
シュトレン。けれど
日本人にもっと馴染みのある
ドイツ菓子は、バームクーヘンだろう。
それを日本に広めたのは、
ドイツ生まれの菓子職人
カール・ユーハイム。
洋菓子メーカー、ユーハイムの創業者。
戦前にやってきたバームクーヘンが
日本で長く愛されつづけたのは、
あの切り株の年輪のような見た目に
縁起を担いだからに違いない。
けれど残念ながら、
本国ドイツには、そういった
縁起のいい「いわれ」はない。
平和を作り出す人たちは、幸いである。
神戸にあるユーハイムの墓石には、
日本語で、そう書かれている。
とある占いによると、
12月25日に生まれたひとは、
さっぱりとオープンな性格で、
責任感も強く、直感力があり、
ひとづきあいが得意なひとだそうです。
向いている職業に、医者や公務員、
研究職など。恋愛は、調和や平和を
強く求める傾向にあるのだとか…。
同じ日に生まれた偉人には、
乃木希典、植木等、
コンラッド・ヒルトン、
ハンフリー・ボガードなどがいます。
きょう、12月25日に生まれた方、
おめでとうございます。
そして、メリークリスマス。
海外のヒルトンホテルの客室には必ず、
聖書と一緒に「be my guest」という
一冊の本が置いてあるのだそうだ。
それは、ホテル王、
コンラッド・ヒルトンの自伝。
ビジネスマン必読の書、
ということになっているらしい。
ところで、この本、
日本でも翻訳され
書店で手に入るのだが、
そのタイトルは、
『ホテル王の告白』。
商売がうまいとは、このことか。
きょうは、クリスマス。
東京のヒルトンは、
ほぼ満室だそうですよ。
若かりし頃は反戦の、
晩年では、家族愛の詩人。
金子光晴は、
クリスマスギフトに
ぴったりな詩集を出している。
題名は「若葉のうた」。
生まれたばかりの孫娘、
若葉ちゃんのために、
72歳の金子が書き下ろした。
そこには、
まるで恋する若者のような、
みずみずしく繊細なことばがある。
けれどそれは、
長く言葉と格闘しつづけた
老齢の詩人だからこそ
出会えたことば。
クリスマスにことばを贈るなら。
あなたは、家族に
どんなことばを贈りますか?