「わたしがいちばんきれいだったとき」で知られる、
詩人・茨木(いばらぎ)のり子。
彼女はこんなふうに二十歳を実感したという。
鏡見たら、目が真っ黒に光っててねえ。
今が一番きれいなときかもしれないっていうふうに思ったのね。
毎日見てる自分が、
ある日ちょっと違って見えたなら
大人になれてるサインなのかもしれません。
がんばりすぎるとカッコ悪い。
適当なくらいがちょうどいい。
作家・金原(かねはら)ひとみは
そんな価値観で育った若い世代のひとり。
「蛇にピアス」で芥川賞を獲った二十歳のとき、
彼女はこんな受賞のことばを残した。
がんばって生きてる人って何か見てて笑っちゃうし、
何でも流せる人っていいなあ、と思う。
私はそんな適当な人間だから、小説にだけは誠実になろうと思う。
適当でいいや。
そう思えなかった、ただひとつのものが
彼女の人生を支えるものになった。