三島邦彦 11年01月09日放送
夏目漱石は大学を卒業した後、
東京、松山、熊本で教師をしていました。
これは、愛媛県の松山中学に赴任していた頃の漱石が
学生たちに向けて書いた一節です。
教師に叱られたとて、己れの値打ちが下がれりと思う事なかれ。
また褒められたとて、値打ちが上がったと、得意になるなかれ。
教師からの評価を気にするより、
自分自身の本当の値打ちを考えることが大事だと、
漱石先生は言います。
明日は成人の日。
さあ、新成人のみなさん、
これからますます、自分を磨く人生を。
ノーベル賞作家、川端康成が作家志望の若者に向けて書いた文章があります。
そこで川端は、素質や才能をいかに伸ばすかという質問に対して、こう答えています。
それは結局、いかに生くべきかという問題に他ならない。
文学修業は所詮人間修業である。
書くものをよくするためには、人間をよくするしかない。
新成人のみなさま、何を目指していても、
生きるすべてが修業のようです。