三國菜恵 11年4月16日放送
こどもにとって、
父親の仕事は気になるもの。
チャップリンのこどもたちも、
パパの映画に興味があった。
そんなことを知ってか、
チャップリンは自分の映画の上映会を
よく開いてくれたという。
それも、本人による解説つきで。
「さあきました。ちっぽけ放浪者です」
「さてまいりましたが、足に包帯をしたでっかい野郎といっしょです」
それは、映画の説明と言うより、独演会。
こどもたちはみんな、声をあげて笑った。
上映会が終わると、チャップリンはこうたずねる。
ほんとうにおもしろかったかい?
子供たちを喜ばすことが世界中で一番むずかしいんだよ。
チャップリンにとって我が子は、
いちばん反応が気になるお客さんだった。
チャップリンが
いちばん信頼していたといわれる付き人は、実は日本人。
名前は、高野虎市(こうの・とらいち)さん。
彼の気遣いは、とてもきめこまやか。
たとえば、チャップリンのポケットに
いつも50ドルを入れておく。
それは、
ボーイさんにチップをあげ忘れることがないように
という配慮から。
気まぐれなチャップリンは、
お金を持たないまま
つい外出してしまう癖があった。
なので、
チャップリンがけちだといわれているのは
まったくの誤解なのですと、高野さんは語る。
いいところも、だめなところも。
ちゃんと「わかって」くれてる人だったから
チャップリンは秘書に選んだのかもしれない。