熊埜御堂由香 11年5月14日放送
日本でいちばん多く母の詩を書いた詩人サトウハチロー。
3000に及ぶそのなかにこんな詩がある。
きょうも一日、いやなことがなかったと
日めくりのカレンダーに
おじぎをしてしずかにはぎとった母。
その姿とはぎとる音がいまでも目に見え
耳の奥に浮かぶのです。
わたしが日めくりカレンダーが好きなわけは これなのです。
仏教の考えかたに
あるがままの暮らしを静かに受入れる、
幸せを外の世界に求めず、みずからの内に求める、というのがあるが
サトウハチローの詩にうたわれた母は
意識もせずにそれを実践している。
おかあさんは、やっぱりすごい。
おかあさんは、やっぱりえらい。