中村直史 11年6月12日放送
あの人の師/平岩弓枝
「はやぶさ新八御用帳」(はやぶさしんぱちごようちょう)など、
すぐれた時代小説で知られる作家、平岩弓枝(ひらいわゆみえ)。
歴史資料のその奥に潜む
人間をていねいに描きだすことで、
オリジナルな物語を生みだす。
彼女にそのことを教えてくれたのが、
恩師であり、大衆文学の祖とも言われた
長谷川伸(はせがわしん)だった。
長谷川は、小説家としての大事な心構えのほかに、
お守りとなる言葉をひとつ、平岩にのこした。
将来、本当に君が人生に行きづまり書けないとなったら、
必ず幽霊となって出てくる。
だから、君が僕の幽霊に出会わない限り、行きづまりの壁にぶつかっていないのだ。
平岩はまだ、恩師の幽霊に
出会ったことがないという。
それが少しさみしいようでもある。
すごすごすご。
去っていく人の応援の仕方、あるんですね。
「西の魔女が死んだ」のおばあちゃんが主人公に残したメッセージを思い出します。
いいなあ
思いやりのあるいい言葉だなあ、とわたしも思います。