2011 年 6 月 のアーカイブ

小野麻利江 11年6月19日放送



8 友達について 盛田昭夫

井深大(いぶかまさる)らとソニーを創業した、盛田昭夫。
人とのコミュニケーションを大切にし、
そのための努力を怠らなかった。

オフィスのコンピュータには、
7000人にものぼる友人や知人の
趣味や誕生日を、インプット。
何かあるたびに必ず、カードや礼状を送った。

またある時は、コミュニケーションの本質を、
「電波」にたとえて説明した。

相手の電波が何チャンネルに合っているかを知って
その電波を出せば、ちゃんと受信する。

いかにも「ソニーの父」らしい、行動や発言だ。

しかし、そんな盛田は、
友情について、こう語る。

友情とは、二つの肉体に宿れる一つの魂である。

盛田の「人づきあいのテクノロジー」の中には、
大きな大きな、ハートがあった。

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八木田杏子 11年6月18日放送



ルイス・キャロルとアリス

不思議の国のアリスは、
ひとりの少女のために紡がれた物語。

当時10歳の実在の少女アリス・リデルに
「何かお話を聞かせて」とせがまれて、
ルイス・キャロルは、思いつくままに話しはじめた。

目の前にいるアリスがはっと息をのみ、
ころころと笑うために。

ルイス・キャロルの想像力は広がっていく。
人間のような動物たちが、
不思議な物語をくりひろげていく。

その3年後、物語は本になり出版されたが
即興のストーリーを書き留めるように頼んだのも
アリスだった。

不思議の国のアリスは
最初の出版から150年にもなるが
いまだに音楽、絵画、文学など芸術の世界に影響を与えつづけている。



ロミオとジュリエット

ロミオとジュリエットは、もしかすると
悲劇ではないのかもしれない。

シェイクスピアの四大悲劇といえば、
ハムレット、オセロー、マクベス、リア王。
ロミオとジュリエットは、そこには入らない。

純粋なまま美しく終わる恋は、
悲劇ではないのかもしれない。

家族からの圧力や
すれ違いから生まれる亀裂で、
恋心が擦り切れていくほうが悲劇なのかもしれない。

ロミオとジュリエットのように
美しく終われない物語を、私たちは生きていく。

いつ終わるかわからない物語を、
ハッピーエンドにしたいと願いながら。



チャップリン

喜劇王とよばれたチャップリンは、
幼い頃はまさに悲劇の主人公だった。

芸人だった父は酒におぼれ、
女優だった母は精神の病を患う。

食べるものも乏しい家で、
母が披露してくれる芝居や朗読に、
チャップリンは魅了された。

やがて彼も、喜劇やものまねで、
笑いをとるようになる。

5歳で初舞台を踏んだ彼は、
12歳になると新聞で名子役と評されるほどになる。

悲劇を生きぬいたチャップリンは、
こんな言葉を残した。

人生は近くで見ると悲劇だが、
遠くから見れば喜劇である。



まど・みちお「ぞうさん」

誰もが口ずさんだ童謡、「ぞうさん」。

リズム感のいいやさしい言葉に、
詩人まど・みちおの想いが宿っている。

ぞうさん ぞうさん お鼻が長いのね
そうよ 母さんも長いのよ

小ゾウは、長い鼻をからかわれても、
大好きなお母さんの長い鼻を思い出して、
むしろ誇らしそうにする。

この歌は、
「ゾウに生まれてうれしいゾウの歌」だと
まど・みちおは語る。

違いがあるから素晴らしいのに、
人と比べて一喜一憂してしまうのは、
もったいない。
その想いから、「ぞうさん」はうまれた。

まど・みちおの童謡が心地よく響くのは、
しらずしらずのうちに、
その想いを感じているからかもしれない。



まど・みちお「散歩」

詩人まど・みちおは、ゆっくり歩く。

家からポストまで、
さぁっと歩けば20分ほどの距離を、
あっちを見たり
こっちを見たりしながら
一時間かけて歩く。

まど・みちおには、世界はこう見えている。

いつも通っている道、
見慣れた景色だと思っても、
もうほんとに驚くことばかり。

アリだってちゃんと
影を連れて生きてるのを発見したときは、
なんだか花束でももらったみたいな気分でした。

いつもの道を、ゆっくり歩く。
そんな贅沢を味わってみませんか。

せめて、お休みの日だけでも。



葛飾北斎

葛飾北斎は、
30回も名前を変えている。

自らの過去にとらわれない
新たな作品を世に送りだすために。
思うまま生きるために。
北斎は名前を変えていく。

美人画、風景画、漫画。

筆のおもむくままに、
湧き上がるものを表現するには、
30もの名前が必要だった。

明日は、日曜日。
仕事も本名もお休みにして、
新しい名前を使えるとしたら。
さて、何をしましょう。



白雪姫

白雪姫は、過ちを繰り返したから、
王子様に出会えた。

魔女が化けたお婆さんから、
ドレスを飾る美しい紐を買って、
胸をきつく締めあげられる。
毒のある櫛を使って、倒れてしまう。
小人に助けてもらっても、また騙されて、
毒りんごを食べて死んでしまう。

手を尽くしても生き返らなかった白雪姫を
七人の小人がガラスの棺に納めたとき
王子さまがやってきて
白雪姫は息をふきかえす。

過ちを3回も繰り返して、
やっと王子様に出会えた、白雪姫。

賢いお姫様だけが、
幸せになれるわけではないのだ。

過ちを悔いる夜は、きっと
白雪姫がなぐさめてくれる。

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日本代表、三國菜恵。出発します。

Vision執筆陣のひとりである
コピーライターの三國菜恵さんがカンヌへ旅立ちます。

各国を代表する若手クリエーターたちが
広告アイディアを競い合う「ヤングカンヌ」の日本代表として。

はりきって
がんばって
世界各国の代表たちをギャフンと言わせてほしい。
日本の若者はすごいんだぞって
ところを見せてきてほしい。

なんてことを言うと
すぐにプレッシャーを感じてしまう
三國さんであるからして!
ここはもう
ほんと
楽しんできてほしいと願うばかりなのであります。

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五島のはなし(147)

島山島という島がある。
シカがいる、ということは知っていたけど
行ったことがなかった。
シカ見たさに出かけてみた。

・・・それにしても
その昔、この島の景色を見た人が
島!山!・・・島!
と叫んだことからこの名前がついたに違いない。
景色を見て納得。
島!山!島!だった。

橋がないころは船で渡ったんでしょうね。

シカ押し

左手に見えますのが福江島、右手が島山島でございます。

ほんとにいたよ

ほんとにいるとはね

地質学的に言うと「すげー」かな。

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五島にも「復興の狼煙」が



昨夜「復興の狼煙」の人たちと飲んでいたら
五島からもポスターの注文がきていると聞きました。
どこに貼ってあるのかな〜。見たいな〜。
五島のどこかに貼ってある「復興の狼煙」のポスター、
誰か見かけたら写真を撮影って送ってください。
えっとえっと、Visionのメールアドレスはないので
ちょっと他のを借りて、こちらへお願いします。
team.tcs01@gmail.com

上のようなポスターです。
現在のところ釜石と大槌町で全28枚、
復興の狼煙のサイトで全部見られます。

復興の狼煙http://fukkou-noroshi.jp/

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五島でVisonが聴ける

コメントの書き込みで教えていただきました。
このような方法です。

 確かにradikoは五島列島では「聴けないことになってます」が
 Visionを含むJwaveの番組は五島列島でも聴取可能のはずです。
 http://www.j-wave.co.jp/faq/index.htm#a02

 J-WAVEを日本全国でお聴きいただける方法があります。
 株式会社 USENのCSデジタル音楽放送“SOUND PLANET

 あと、
 http://www.j-wave.co.jp/topics/1103_lismowave.htm
 LISMO WAVEでJ-WAVEを聴こう!
 こちらも全域とはいきませんが、聴取可能です

書き込んでくださったかた、ありがとうございます(玉子)

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東北を旅した写真集(2011.06.08)


AM8:00東京駅発


駅弁


車窓から福島は快晴


米沢駅


新幹線の駅なのにのどか


車窓から山形盆地


AM11:00山形駅着


繁華街は駅から少し離れているので
駅周辺の賑わいというのはない。


東北芸術工科大学
写真ではわかりにくいですが、
芝生一面に黄色いキンポウゲがキレイでした。
植えたものではなく野草です。
これだけ野草がキレイだと
余計なものを植える必要がありません。


山形国際ホテルの近く


御殿堰と呼ばれる水路
御殿堰は七日町という繁華街にある。
山形の街はデザインがなく、
それがむしろのびのびといい感じだが
御殿堰だけは整備されていて
それが安っぽく感じるのはなぜ?


こちら整備されていない水路


公園も余計なデザインがなくていい


カタバミの花
カタバミは根絶しにくいしぶとい雑草です。
東京ではこいつが繁殖すると庭の植物がダメになるので
目の敵にして抜きますが
土地に余裕があると放っておくこともできます。
土が肥えているせいか、のびのびと大きくキレイです。


国の文化財「文翔館」
文翔館は大正5年に県の議事堂として建てられた
イギリス・ルネッサンス様式の建物。
現在は郷土館になっている。
広大な敷地の木陰にはベンチなどあって心地よい。


酒を飲みました


アラ煮も食べました

2011年6月8日
雨の東京から「つばさ」に乗りました。
東北へ一歩足を踏み入れたら空は真っ青で
雲がのんきそうに浮かんでいました。
山の緑は盛り上げるように力強く
田植えの終わった田んぼは水をたたえていました。

山形はいい街です。
広くて大大としていて、のびのびと余裕があります。
「都市をデザインする」などという悪魔の囁きに
耳を貸していないので
窮屈な合理性やちまちま感がまるでありません。

開けた視界から雪の残る出羽三山が見えます。
その反対方向は奥羽山脈です。
盆地なのですでに気温30度を記録していました。
みんな半袖です。
これから梅雨になり、夏がはじまります(玉子)

*東北の旅連載中:http://nknk.exblog.jp/
●つづきの写真はこちら:http://www.01-radio.com/tcs/archives/18690



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三國菜恵 11年6月12日放送



あの人の師/井上雄彦

漫画家・井上雄彦。
彼の師匠は、あの『シティーハンター』の作者・北条司だった。

20年もの間〆切を守り、
机の上で肉体と精神をつかい果たす姿をずっと見てきた。

『スラムダンク』がヒットして
師匠にほめられたときのことを、彼はこう語る。

職人に誉められるなんて、とても嬉しかった。



あの人の師/角田光代

小説家、角田光代(かくた・みつよ)には
ちょっと変わった師匠がいる。
それは、プロボクサーの輪島功一(わじま・こういち)さん。

角田さんは、大失恋をきっかけにスポーツジムに入門。
それがたまたま、輪島さんのジムだった。

輪島さんは、
毎日、練習生たちの靴をきれいに並べる。
毎回、気持ちの良いあいさつを返してくれる。

角田さんはその行動に、ひそかに尊敬の念を寄せていた。

彼女が輪島師匠からもらったことばに、こんなものがあるという。

おんなじことを嫌がらずに繰り返しやった人と、やらなかった人とでは、
得られるものがぜんぜん違うんだ。

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中村直史 11年6月12日放送



あの人の師/笑福亭鶴瓶

恐ろしくて、おもしろい師匠だった。
六代目笑福亭松鶴(しょうふくていしょかく)。
弟子のひとりに、あの笑福亭鶴瓶がいる。

弟子をとりたくない松鶴に
最初は居留守を使われながらも、
なんとか面会を許された若き鶴瓶。
向かい合った偉大な落語家の唇に飼い犬の毛が一本
ついているのを見逃さなかった。

師匠が恐ろしいことは知っている。
初対面の緊張もある。
しかし、心の中の声がこう叫ぶのを無視はできなかった。

その毛をとれ。とったらおもろいから、その毛をとってまえ。

突然手を伸ばし「犬の毛がごっつう気になるんで」という鶴瓶に、
松鶴は一言「おもろいやっちゃなあ」。
晴れて、入門は許された。
師匠を心から慕った鶴瓶。
今も、あの犬の毛に感謝しているに違いない。

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三島邦彦 11年6月12日放送



あの人の師/萩本欽一

コメディアン、萩本欽一。
浅草の劇場で働き始めて5ヶ月目、
父親の家が火事になった。
当時まだ見習いの欽ちゃんの月収は3千円。

しばらくは違う仕事に就こう。
そう決めて、師匠の池信一へ申し出た。

数日後、師匠から呼び出された。

お前な、ここにみんなが出してくれた金がある。 

4万5千円。一年分の給料より多い金額。

  すごいだろ、みんなが500円ずつだしてくれた。
  そうじのおばちゃんも500円だしたんだぞ。
この4万5千円を使い切るまでは、ここにいな。

その日、大泣きをした欽ちゃんが、やがて、日本中を笑顔にすることになる。



あの人の師/大杉勝男

その日はきれいな月が出ていたという。

1968年9月6日、
後楽園球場では東映フライヤーズと
東京オリオンズの試合が行われていた。
試合は両者譲らず延長戦。
11回の裏、大杉勝男(おおすぎ かつお)に打順が回ってきた。
大物ルーキーとしてプロ入りし、3年目でレギュラーを獲得したものの、
ここしばらくはスランプに苦しみ、この日もここまでノーヒット。

そんな大杉のもとへ、打撃コーチの飯島滋弥(いいじま しげや)が近寄った。
飯島は、バックスクリーンの上にぽっかりと浮かんだ月を指差して言った。

 あの月に向かって打て。

「この言葉で、ホームランの打ち方がわかった。」後に大杉はそう語る。

大杉の打球は、月に向かって高々と舞い上がり、
美しい放物線を描きながら歓喜に湧くスタンドに突き刺さる。

後に2度のホームラン王になる強打者が誕生したきっかけは、
師がくれた、わかりやすく、美しい、たったひとつの言葉だった。

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