坂本仁 11年7月9日放送
ジャック・リヴェット
長回しの手法を使って、
人間の動作や心理を細かく丹念に描きつづける
フランスの映画監督ジャック・リヴェット。
カンヌ映画祭審査員特別グランプリを受賞した、
「美しき諍い女」は約4時間、
代表作である1970年の「アウトワン」は
およそ13時間にもおよぶ作品である。
リヴェットの盟友で映画監督のゴダールは、
その13時間にもおよぶ「アウトワン」を鑑賞した後、
次のように言った。
「素晴らしい作品だ。
しかし、彼の才能を発揮するには短すぎる」と。
その破壊的な長さのために
未公開のままだった「アウトワン」が日本で公開されたのは
フランスでの初公開から38年後
2008年のことだった。
井上円了
机の上の十円玉に指を置き、
霊をよびだして質問する。
子供の頃、「こっくりさん」で不思議な体験をしたことある人は
多いのではないでしょうか?
近代的な妖怪研究で知られる井上円了は、
「こっくりさん」を科学的に分析し、
十円玉を動かしているのは、霊ではなく、
無意識の筋肉運動であることを実験で証明してみせた。
妖怪や化け物は人が生み出すもの、
迷信を恐れることはない。
けれど、不思議な現象を知的に楽しむことを
否定するわけではない。
井上円了の研究の目的は、
人の暮らしの幸福にあったと思う。
B・C・フォーブス
学校のテストの点が悪かったり、
仕事で結果がでなかったり、
好きな人にフラレたり。
生きることは、失敗の連続かもしれない。
けれど、アメリカの作家B・C・フォーブスは言う。
ゴルフにバンカーやハザードがなければ、単調で退屈に違いない。
人生も然りだ。
と。
あなたにとって面白くないことは、
あなたの毎日を面白くしてくれるもの。
そう思えれば、きっと毎日はもっと楽しくなる。
サミュエル・ジョンソン
辞書を引くのは一瞬で終わるが、
辞書をつくるのはそうはいかない。
1755年、イギリスの文学者サミュエル・ジョンソンは、
4万語を超える単語を収録した A Dictionary of English を刊行した。
その内容は極めて詳細に記述され、
世界初の本格的な辞書とも評されている。
単語の意味を説明するために、
シェイクスピアやミルトンの文書を引用し、
その後の辞書の編集に多大な影響を与えた。
サミュエル・ジョンソンは言う。
大偉業を成し遂げるものは、
体力ではない、耐久力である。
元気いっぱいに3時間歩くことができれば、
7年後には地球を一周できる。
エジソン
いま、多くの人の毎日は、時間に追われている。
細切れに組まれた予定は
人から集中力を奪っていく。
けれど、世界の発明家・エジソンは言う。
決して時計を見るな。
これは若い人に覚えてもらいたいことだ。
若いうちは時間を忘れるくらい何かに没頭しなさい。
発明に夢中になりつづけ、数々の偉業を成し遂げたエジソンは、
そう私たちに教えてくれる。
時間を守ることも大切だけど、
時間を忘れることも大切にしたい。
涙の出ない仕事をするな。
それが嬉し涙でも、悔し涙でも。
たくさん失敗してもくじけなかったらいいんです。
音楽プロデューサー森本泰輔はそう語る。
彼にとっての涙を流した仕事とは、
人気バンド・ウルフルズを育てたことだった。
本気で愛して本気で駆けずりまわって、本気で泣いた。
そうだ、「涙」を言い換えると
「本気」というコトバになるのかもしれない。
野村克也
いまTwitterで流れている野村克也楽天イーグルス名誉監督の言葉を
拾い出してみた。
思考が止まれば、進歩も止まる
アンパイアは、ピッチャーの女房役のキャッチャーにとって、
言ってみれば夫の上司 みたいなもの
捕手は目配り、気配り、思いやりと危機管理のマイナス思考
「失敗」と書いて「せいちょう」と読む
データ重視のID野球で知られる、名監督・野村克也。
ヤクルト、阪神、楽天で監督を務め、
結果をだせる監督としてその手腕は高く評価されている。
しかし彼の野球哲学はデータ重視なだけではなく、
人間重視でもある。
選手の性格をよく考えて指導すること。
人の心理を考えつくした配球理論をキャッチャーに教えること。
人間をみつめつづけてきた野村克也は言う。
コンピューターがどんなに発達しようとしても、
仕事の中心は人間だ。
ならばそこには「縁」と「情」が生じる。
それに気づき、
大事にした者がレースの最終覇者となるのだと思う。
と。