薄景子 11年10月16日放送
食欲の秋 サン=テグジュペリ
星の王子様の作者であり、
パイロットでもあったサン=テグジュベリの言葉。
たくさんの星があっても、
夜明けに香り高い食事の碗を
用意してくれるのはたったひとつしかない。
さあ、食欲の秋。
料理を味わえる星に生まれた幸せを
ゆっくりかみしめたい。
コラムの秋 山本夏彦
読書の秋というと、小説が主役になりがちだが、
この季節にこそ読みたいコラムがある。
昭和から平成の日々を、ばさりと切り続けた随筆家、
山本夏彦。
馬鹿は百人集まると、百倍馬鹿になる。
痛快で、辛口で、思わずニヤリ。
本質をついた言葉は、いつ読んでも新しい。
その日まで私のすることといえば、
死ぬまでのひまつぶしである。
そう自ら語った山本のコラムには、
一寸の無駄もなく。
研ぎ澄まされた剣そのもの。
同じひまをつぶすなら。
自分のかわりに
世の中をずばずば切りさばいてくれる、
そんな言葉とともに、秋の夜長を楽しみたい。