石橋涼子 12年3月18日放送
kontenten
動物と人 猫と寺田寅彦
寺田寅彦はあらゆるものに興味を持ち
こんぺいとうや蚊取り線香、ガラスの割れ目まで
研究した学者だが、実は猫が苦手だった。
40代のころ、屋根裏のネズミ退治のために
渋々、苦手な猫を飼うことにした。
とたんに寺田は猫に夢中になった。
しかしその研究成果はというと、
猫ののどをかいてやると、ゴロゴロと鳴る。
しょっちゅう居眠りをする。
その報告を聞いた家族はおおいに笑ったという。
しんしん
動物と人 猫と三島由紀夫
三島由紀夫が猫好きだったことは
意外と知られていない。
幼い頃から猫をかわいがっていたのだが、
妻が大の猫嫌いで飼うことが許されなかったのだ。
作家仲間の林芙美子に宛てた手紙には
いかに自分が猫好きかを綴っている。
あの小賢しいすねた顔つき、きれいな歯並び、冷たい媚び、
なんともいえず私は好きです。
だなんて、まるで惚気のよう。
三島が猫に会うのは妻が寝静まった深夜だ。
書斎の窓を猫が叩くのが合図。
机の引き出しに隠しておいた煮干し片手に
毎晩逢い引きをしていたのだという。
その愛し方は、なんだかとても三島らしい。