石橋涼子 12年4月22日放送
師のはなし 内村鑑三と斉藤宗次郎
明治のキリスト教伝導者であり
社会運動家でもある内村鑑三のもとには、
弟子になりたいという者が後を絶たなかった。
しかし大きすぎる期待は失望へと変わりやすいもので、
内村のもとを去る者も後を絶たなかったという。
師弟関係というものに絶望した内村は、
「弟子を持つの不幸」
という文章まで書いた。
そんな師匠を最後まで慕い続けたのが斉藤宗次郎だ。
なにしろ斉藤は、雨にも負けずのモデルになった
と言われている人物だ。
雨の日も風の日も師匠のもとへ通い、敬い、尽くし、
病気の内村を最期まで看取った。
内村鑑三は、最晩年にようやく
弟子を持つことの幸福を知ったのではないだろうか。