薄景子 12年10月7日放送



色のはなし やなせたかしの赤

やなせたかしの代表作、
「アンパンマン」がブレイクしはじめたのは
60歳を超えてからだという。

それまでの人生は、決して順風満帆ではなかった。
幼いころから劣等感に悩み、戦争も経験し、
仲間たちが次々と漫画家として売れていく日々。

悶々としていたある日、
夜中に冷たい手を懐中電灯で
温めながら仕事をしていた時。
ふと見ると、手に真っ赤な血が透けているのに彼は気づく。

自分がどんなときでも、血は赤々と流れている。
その驚きとよろこびを、あの歌詞にこめた。

 手のひらを太陽に すかしてみれば
 まっかに流れる ぼくの血潮

93歳の今もなお、第一線で働くやなせは言う。

 諦めさえしなければ、人生は必ず何とかなる。

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