蛭田瑞穂 12年10月13日放送
食べる作家③内田百閒
太平洋戦争真っただ中の昭和19年、
内田百閒は『餓鬼道肴蔬目録(がきどうこうそもくろく)』
という作品を書いた。
まぐろ 霜降りとろノぶつ切り
ポークカツレツ
シユークリーム
富山のますの早鮨
料理の名前だけが延々と列記されている風変わりな作品。
百閒はこの作品を
「食ベルモノガ無クナツタノデセメテ記憶ノ中カラ
ウマイ物食ベタイモノ物ダケデモ探シ出シテ見ヨウ」
と思いついたという。
百間の、食への執着心の、
なんとすさまじいことか。