蛭田瑞穂 12年10月13日放送
食べる作家④江戸川乱歩
江戸川乱歩が酒を飲むようになったのは、
50を過ぎてから。
当然、あまり強くはなかった。
日本酒を一合飲むと赤ら顔になった。
二合飲むと動悸が激しくなった。
三合飲むと心臓が苦しくなった。
詩人の堀口大學の家で日本酒をふるまわれ、
酔ってそのまま床に寝てしまったこともある。
そんな乱歩もビールは好んで飲んだ。
喉のかわいたときのビールは、むろんよろしい。
ビールでは、わたしには、つまみものよりも
薄く切った脂の多いトンカツに生キャベツが適薬である。
風呂から上ってこれをやるのは格別。
エッセイの中で乱歩はそう記している。