蛭田瑞穂 12年10月13日放送
食べる作家⑤幸田露伴
幸田露伴の文章に「供給会社」というものがある。
内容は、朝昼晩三度の炊事は面倒で
労働力の損失になる、
そこで、安い食事を供給する会社ができれば
非常に便利である、というもの。
そして露伴はこう続ける。
清潔で迅速で上品で、少しの虚飾もなく、
単に食事を要領よく出す。
こういう店をたくさんつくればいい。
大金を投じ、供給会社を各都市に設ければ、
個人にとっても都市にとっても甚だ有益であろう。
露伴の言う供給会社こそ現代における
ファミリーレストランやファストフード店。
露伴がこの文章を発表したのは明治45年。
その先見の明に驚く。