佐藤延夫 12年11月03日放送
ムーミン谷の住人たち4
フィンランド湾には、大小さまざま、
何万もの島が浮かんでいる。
ここがムーミンの作者、トーベ・ヤンソンの遊び場だった。
幼いころは、毎年、家族みんなでやってきて、ひと夏を過ごした。
大人になると、小さな島に自分の小屋を建てた。
彼女の住処は、クルーヴ・ハル島。
水道も電気もガスもない、ただ海だけ広がる場所がアトリエになった。
それにしても、なぜ、島なのか。
理由は、「きっちり限られた場所だから」。
トーベは語る。
ここは自分の世界であり、
すべてをひとりで見渡すことができるし、
細かいことまで知りつくしていられる。
それに、海に守られて
望めば、海で全世界へとつながっている。
一周するのに10分もかからない島。
それがムーミンの舞台、ムーミン谷そのものかもしれない。