2012 年 11 月 11 日 のアーカイブ

こっちを向いてくれない(猫愚痴 23)

細い道一本隔てた向こうを縄張りにしている甲斐くんだとおもうのだが
なにしろこっちを向いてくれない。
お〜い、甲斐くんっ!
名前を呼んでも振り向いてくれない。
いつも挨拶しているのにこの日はどうもご機嫌が悪かった。

日なたぼっこの邪魔をしたのかしら。
甲斐くん、甲斐くんってば!
返事もしてくれなかった。

こんどオヤツ持ってくるから、と言ってもダメだった。
こういうとき、猫がかたくなだと思う(玉子)

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古居利康 12年11月11日放送



左手の話 ①レオナルド・ダ・ヴィンチ

レオナルド・ダ・ヴィンチは
左利きだった、という説がある。

数多く残されたデッサンをよく見ると、
斜線の筆致が、ほぼすべて、
左上から右下の方向に走っている。

右利きの人間がそのような方向へ
筆を運ぶのは不自然であり、無理がある、
というのが、ダ・ヴィンチ左利き説の
根拠になっている。

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古居利康 12年11月11日放送



左手の話 ②宮本武蔵

宮本武蔵は、
絵を描くのが好きだった。
その腕前は、武芸者の余技を
はるかに超えるものだった。

彼が残した水墨画の
墨の濃淡から、
宮本武蔵は左利きだった、
と唱える人がいる。

武蔵が描く線は、
右側が濃く、左側が薄いことが多い。
筆で線を書いてみるとわかるが、
右利きの人間ならその逆になる。

このあたりから、
宮本武蔵は左利きだった、
という説が生まれた。

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古居利康 12年11月11日放送



左手の話 ③天才たち

人間の脳は左右に分かれていて、
右脳が左半身を、左脳が右半身を司っている。
左右が交差するかたちだ。

右脳は音楽脳とも呼ばれ、
視覚・聴覚などの五感を認識し、
空間認知なども受けもっている。
左脳は言語脳とも呼ばれ、
言葉や文字などを認識し、
論理的な思考に展開する。

左利きの人は左手をよく動かすので、
右脳の働きが活発になり、
結果、感性が豊かになる。
天才に左利きが多いのはそのためだ、
と主張する向きもあるが、
科学的な根拠はなく、俗説の域を出ない。

ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、
ニュートン、ベートーベン、
アインシュタイン、ピカソ…。

左利きだったと伝えられる
そうそうたる天才たちの名を並べると、
左利き天才説を信じたくなってくるのだが。

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古居利康 12年11月11日放送



左手の話 ④ジョージ6世

『英国王のスピーチ』という映画がある。

英国王ジョージ6世が吃音症を克服する
姿を描いてアカデミー賞を獲った。

左利きだった王は幼少時、
父・ジョージ5世から左利きを
むりやり矯正される経験をもつ。

食事のとき、息子の左手に
長い紐を結びつけ、左手を使った場合、
父が乱暴に引っ張って注意した。

この幼児体験がジョージ6世を
ストレス過多にし、内向的にし、
吃音症に悩む原因になったといわれている。

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古居利康 12年11月11日放送


Helge Øverås
左手の話 ⑤デヴィッド・ボウイ

「左手で絵を描いたり字を書いたりすると、
まわりの連中が『こいつは悪魔だ!』と、
私をからかったことを、
いまでもはっきり覚えている」

そう語ったのは、デヴィッド・ボウイ。
左利きであるだけで差別を受けた
みずからの経験。
こんなことも語っている。

「教師は右利きにさせようとして
私の手をひっぱたいたものだ。
そう、かつてはイギリスでも
左利きは忌まわしいものとされていたんだ」

左利きをむりやり右利きに直されたのは、
英国王だけではなかった。

箸をもったり、鉛筆をつかったりするのは
右手で。という社会通念が、
かつて日本にもあった。漢字もひらがなも
右手で書くことを前提につくられている。
左手で毛筆をもって縦書きの文字を綴るのは
なかなか難儀なこと。そんな文化のありようが
左利きをあまり歓迎しなかった。

英国の場合、宗教上のなんらかの理由もあり、
左利きの存在をゆるさない空気があった。

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古居利康 12年11月11日放送



左手の話 ⑥大統領たち

歴史上の人物が
右利きだったか、左利きだったか、
特定するのは容易ではない。

画家や音楽家であれば、
筆遣いや楽譜の筆跡、演奏の特徴など、
文字どおり“手がかり”があって、
推論を立てることができる。

アメリカ大統領の場合は難しい。
20世紀以前の大統領は、
左利きであることを証明できる
資料が存在しない。

2012年現在、
直近の7人の大統領のうち、
5人が左利きと伝わっている。
フォード、レーガン、ブッシュ父、
クリントン、そしてオバマ現大統領。

なぜ近年、大統領に左利きが多いのか。
諸説あるが、いまだ定説はない。

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古居利康 12年11月11日放送


A. Vente
左手の話 ⑦ジミ・ヘンドリックス

ジミ・ヘンドリックスは、
右利き用のギターを、
わざわざ左右さかさまにして
右手で弦を押し、左手で弦を弾いた。

だからジミヘンは左利きなんだ、
と誰もが思っていた。

けれど、文字は右手で書いた。
食事も右手をつかった。

ギターの天才は、左利きか、右利きか。
いまとなっては永遠の謎。

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古居利康 12年11月11日放送


DanieleDG
左手の話 ⑧二刀流の男

宮本武蔵といえば、二刀流。
左右に二本の刀を構えた。

武蔵は水墨画でも名を残したが、
その作品の筆致を見ると、
左手優位の痕跡がある。

それをもって、宮本武蔵は左利きだった、
と唱える歴史家もいる。
もしかしたら、武蔵は左右両方、
同等に使えたのではないかという説がある。

武士は左の腰に二本の刀を差す。
右の腰に差すのは許されなかった。
左利きに生まれても、武家のこどもは
必ず右利きに直された。

宮本武蔵の二刀流は、
右も左も同等に力を出すための剣法だ。
二本の刀を構えたとき、
左手が弱ければ、敵の攻撃を受けることも
跳ね返すこともできない。

武蔵はたぶん左手を、右手と同等に使った。
でなければ、二刀流は不可能だった。
左利きかどうかは定かでないとしても。

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