佐藤理人 12年11月18日放送
007シリーズ50周年④ ロジャー・ムーア
ジェームズ・ボンドのピンチを救ったのは、
別のジェームズ・ボンドだった。
3代目007、ロジャー・ムーアは、
持ち前のユーモラスな演技で前任者のゴタゴタを一掃。
第8作「死ぬのは奴らだ」以降、
歴代最多の7作品でボンドを演じ、
シリーズの長寿化に貢献した。
ユーモアのないサディスティックな
バイオレンス映画なんて考えたくもない代物さ。
荒唐無稽なキャラクターを茶化すような彼の演技は、
007を暴力的なアクション映画から
家族そろって楽しめる娯楽大作に変えた。
コミカルなボンドが人気を博した理由。
それは国際社会で次第に発言力を失っていく、
イギリスの悲哀の裏返しであった。