「子どもへの言葉/モーリス・センダック」ロージーちゃんのひみつ
センダックの絵本の主人公は、
手に負えないぐらいのいたずら者ややんちゃで夢想的な子どもたちだ。
「かいじゅうたちのいるところ」のマックスはあばれんぼうの代表格。
夢想家のこどもは「ロージーちゃんのひみつ」に登場する。
20歳のとき、センダックは職がなく、
健康でもなく金もなく、両親の家で暮らすしかなく、
この先どうすればいいかという手がかりもない状態だった。
ほとんど一日中窓辺にいて、通りをへだてて住む子どもたちや
その家族をスケッチしていた。そこにロージーはいた。
彼女は猛烈な子どもで、
この世のものだろうとこの世の外のものだろうと
なりたいものには何にでもなれる。
その想像力は感銘を受けずにはいられない。
ロージーが夢のゲームに込める途方もない
エネルギーが私の想像力を活性化してくれた。
何冊もスケッチ・ブックをいっぱいにして、
センダックはやっとのことで窓の外へ広がる世界へ出てゆく。
そしてその未熟なスケッチたちから、たくさんの主人公が生まれた。
ロージーは、窓の中の私と窓の外に広がる世界をつなぐ、
生きた糸のような存在だったのです。
ロージーがいなかったら、私たちも「かいじゅうたちのいるところ」に
いけなかった。