大友美有紀 12年12月2日放送
「子どもへの言葉/モーリス・センダック」イギリスにて
アメリカの高名な絵本作家モーリス・センダックは、
39歳のとき、イギリスにいた。
「かいじゅうたちのいるところ」を出版して4年後のことだ。
汽車に乗り美しい田園風景を楽しんでいたとき、
突然、大きな醜いボタ山が現れ景観をぶちこわしにした。
文句を言うモーリスに、隣に座っていたでっぷりした紳士は
「がらくたあるところ、金もまたありじゃよ、お若いの」と言った。
私はその言葉が忘れられません。
それは芸術のついての、
そしてこの世界の状況についての、
悲しくしかも相当に正確な比喩なのです。
それは1967年、世界が変わろうとしていた時代だった。