偶然を集める人 赤瀬川原平
世の中には、
意味のないものを愛でる人がいる。
ただ昇って降りるだけの意味不明な階段、
何を仕切っているのか推察不能なガードレール、
色あせて文字の一部が読めなくなっている看板など…。
70年代、これらの美しさを発見した赤瀬川原平は、
トマソンと名づける。
そして、街中で自分の感性が反応したものに
次々とカメラを向け、採集していった。
今も散歩を続ける赤瀬川の言葉。
この世は偶然に満ちている。
街はいづれ老朽化し、その隙間から、
追い出された偶然がまた顔をのぞかせる。
カメラにはそれが美味しい。
何の変哲もない風景も、
見る人間次第でまったく違うものとなるらしい。