名雪祐平 12年12月30日放送
百年前の訃報録 ハイム
百年前、その人物が亡くなった。
ドイツの詩人 ハイム
こんな詩の一節が残っている。
死に行く者は立ち上がろうとするが、
突然死んでしまう。
命はどこに。
その目は曇ったガラスのように、
暗く陰鬱だ。
目覚めている者も悲しみにうちひしがれ、
重い悪夢から覚めようと
青ざめたまぶたをぬぐう。
これは予言か。呪いだったのか。
この詩を書いてからまもなく、
ハイムは友人と二人、湖にスケートに出かけた。
氷が割れ、ハイムは冷たい水中に沈み、
突然、死に行く者になったのだ。
24歳という若さで。
詩に書いたような死に方で。