藤本宗将 13年1月13日放送



ソーニャ・コワレフスカヤの20歳

数学者ソーニャ・コワレフスカヤ。
ロシアで初めて大学教授の地位を得た女性である。

父はポーランド系貴族。母はドイツの名門の生まれ。
輝かしい血統の世継ぎを待ちわびていた一家にとって、
女のソーニャは望まれない子供。
そんな少女がはじめて父に褒められたのが、14歳の頃。
類いまれな数学的才能を見いだされたときだった。
愛情に飢えていたソーニャは、それから数学に没頭。
やがて留学を望むようになる。

しかし時代は19世紀。当時のロシア女性は、
親の承諾なしには国外へ出ることもできなかった。
自分の人生の決定権がなかったのだ。
そのとき彼女がとったのは「偽装結婚」という手段。
結婚することによって親のもとを離れ、
偽りの「夫」とともにヨーロッパに渡ったのである。

ソーニャは推薦状も成績証明書も持たず、
ベルリンの数学者ワイエルシュトラスの門を叩く。
この厄介な訪問者を追い払おうと
ワイエルシュトラスが出したのは、大学院クラスの難問。
しかし彼女はそれを鮮やかに解いてみせた。

ソーニャ・コワレフスカヤ20歳。
女性が自らの手で人生の扉を開いた瞬間だった。

明日は成人の日。

タグ:

«    »

topへ

コメントをどうぞ

CAPTCHA



login