Francis Bacon
フランシス・ベーコン④「叫ぶ教皇」
死が人を奮い立たせる。
フランシス・ベーコンの絵には、
常に暴力と恐怖の臭いが漂っていた。
彼が好んで描いた題材に
「泣き叫ぶ教皇」というものがある。
世界中のカトリック教徒を導き、
神の代理人をつとめるローマ教皇。
彼でさえ未知の力を前にして、
赤ん坊のように喚き、断末魔の叫びをあげる。
その絶望した表情は私たちに、
運命に対して人間は等しく無力である、
という残酷な事実を突きつける。
その彼をしても、
新聞やTVを見てごらん。
私が描くものは到底、
今の世界の恐怖には敵わないよ。
と言う。