三島邦彦 13年2月23日放送
登場人物たち ウィリアム(ティム・オブライエン『ニュークリア・エイジ』)
男が穴を掘る。
自宅の庭に核シェルターを作るため。
家族からどんなに止められても、男は穴を掘りつづける。
男の名前はウィリアム。
アメリカの作家ティム・オブライエンが書いた小説
『ニュークリア・エイジ』の主人公。
幼い日に見たキューバ危機のニュースがきっかけで、
生涯核戦争を恐れて生きることになった。
ウィリアムは語る、
もし何かを想像することができるなら、それは存在しうるのだ。僕はあらためてそう思う。
でもこういうのを想像してみてほしい――核戦争を。
イメージは人生を支配する。
核兵器のない世界だって、想像できたはずなのに。