カノープス
前衛芸術家、草間彌生1
スミレの花が、人間の顔になり話しかける。
犬が人の言葉で吠えてくる。
そうかと思えば、自分の声が犬の声になっている。
目に見えるもの全てが水玉になり、
あらゆる場所を覆い尽くす。
前衛芸術家、草間彌生は、幼いときから幻覚をみていた。
10歳で描いた母の肖像画は、
水玉で埋め尽くされていたそうだ。
「芸術を作りつづけることだけが、
私をその病から回復させる手段だった」
そう語る彼女の芸術は、
頭に巡る幻覚をキャンバスにうつすことから始まった。