佐藤延夫 13年4月6日放送



前衛芸術家、草間彌生4

1929年。
前衛芸術家、草間彌生は、長野県松本市で生まれた。
生家は事業を営み、裕福ではあったが
両親は不仲で諍いが絶えなかったという。
放蕩を重ねる父。
絵描きという職業を見下す母。
そんな環境で、娘は、ひたすらに絵を描き続けた。
憎むべき現実を消滅させる手段として。
彼女はそのときの思いを、こう表現する。

「思春期における救いようのない暗黒との心の傷痕よりおびきよせられた、
 精神と神経の病巣からくるもの。
 それこそが私が芸術を作りつづける根本的な原因なのである」

一見、恵まれた環境に見えても
そこには自分を拒絶する人間がいて、
閉鎖された環境があった。
目に映るのは、しがらみと古びた因習、そして偏見という悪魔。

その全てを拭い去るために、草間彌生は、アメリカに向かった。

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