佐藤理人 13年4月13日放送
ブリア・サヴァラン②「美味学」
人民の運命は宴会で決まる。
フランスが生んだ世界的食通、
ブリア・サヴァランは言った。
昔、戦争をはじめ重要な議題は、
食卓で協議されるのが常だった。
空腹のときと満腹のときで人は変わる。
食は交渉を容易にするための
立派な政治の手段だった。
さらにそれは、
栄養や保存法を研究する科学であり、
美味しく調理する技術であり、
国家の貿易を左右する経済でもあった。
食にまつわる知識を体系づけて
整理した学問を「美味学」と言う。
サヴァランは著書「美味礼讃」により、
美味学の真髄を王や貴族たちの厨房から
庶民の食卓へ解放した。
真のグルメは大人の隠れ家ではなく、
家庭の食卓にこそ存在する。