啄木の上京
どうせ貧乏するなら、
北海道まで来て貧乏しているよりは
東京で貧乏した方がいい。
東京だ。東京だ。
そう日記に記し、
月給が25円ほどの時代に
千三百円以上の借金をしていた石川啄木。
三度目の上京中、彼は一晩で八百五十五首もの短歌を書く。
それはやがて歌集「一握の砂」となる。
たくさんの人に迷惑をかけ
その素朴な歌とはかけ離れた
わずか26年の人生を破滅的に駆け抜けた。
東京を夢見つづけた啄木はまた
東京の美しい風景も多く歌っている。
春の雪
銀座の裏の三階の煉瓦造に
やはらかに降る