奥村広乃 13年4月20日放送
捨松の上京
日本人初の女子留学生 山川捨松(やまかわ すてまつ)
彼女の名前は、咲子(さきこ)だった。
会津藩の武士の娘として生まれ、
幼少期に戊辰戦争を体験した。
12歳になったある日。
兄から「上京して、アメリカへ旅立ち、
10年間みっちり学んでこい。」と言い渡される。
彼女の母は、娘を東京へ送り出すまえに改名をさせた。
「私はお前を捨てたつもりでアメリカへ送り出すが、
お前がお国のために立派に帰ってくる日を心待ちにして待っているよ。」
そんな思いを込めてつけた名前は、捨松(すてまつ)。
山川捨松。
彼女は、日本初の女子留学生の一人だ。
明治4年11月12日。
明け方降りた霜がきらきらと輝く快晴の中、
彼女をのせたアメリカ号は、
サンフランシスコへ出発した。
東京は、おおきな目標へのゴールだけではなく、
時として出発点にもなる。