石橋涼子 13年4月21日放送
出会いのはなし ロダンと花子
66歳のオーギュスト・ロダンは、
マルセイユの博覧会で
花子という日本人女優に出会った。
彼女の苦しみや怒りの演技に衝撃を受け、
楽屋に押し掛けてモデルになるよう頼んだという。
一方の花子はというと、
日本で二度の結婚に失敗し、頼る家もお金もなく
34歳、単身死ぬ気で海を超えた。
必死に芝居を続けたある日、
有名な芸術家が自分を求めて現れたのだった。
多くの評論家が運命の出会いと語るこの瞬間、
彼女はこう思ったという。
なんだか汚いじいさまだな。
思い出は見る角度によって違うけれど、
どんな出会いも限りない可能性を秘めている。
花子はモデルの依頼を引きうけ、
ロダンから家族同様に愛された。
ロダンは、毎日のように花子を招き、
58点もの作品をつくりつづけた。
この春、あなたにいい出会いがありますように。