2013 年 4 月 のアーカイブ

三島邦彦 13年4月14日放送


hto2008
ピンチ! ジャッキー・チェン

オバマ大統領も、クリントン元大統領も、
彼の映画のファンだという。
その男の名前は、ジャッキー・チェン。

ブルース・リーの映画のエキストラからキャリアをスタートした彼は、
カンフー映画に命がけのアクションとユーモアを持ち込み、
アジアのトップスターへと登りつめた。

どんなに危険なシーンでもスタントに頼らないジャッキー。
映画の中の主人公とジャッキーは常に一体。
だからこそ、観客は彼から目が離せない。

しかし、あまりにも危険な撮影のため怪我は絶えない。
全ての指は骨折したことがあり、ほとんどの関節は脱臼したことがあるという。
それでも、ジャッキーは危険へと自らを駆り立てる。
25メートルの時計台からの飛び降りに失敗して首の骨を折った後も、
怪我が完治すると同じシーンを撮り直した。

ある日、記者が死ぬのは怖くないのかと尋ねた時、
彼はこう答えた。

 映画の中以外で死ぬのはごめんだよ。

ジャッキーのピンチが面白いのは、
それが本当のピンチだからだ。

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三島邦彦 13年4月14日放送



ピンチ! 稲盛和夫

経営破綻したJALを驚異の再生へ導いた経営者、稲盛和夫。
その再生の道は「人間として何が正しいのか」を説くところからはじまった。
時として社員を怒らなければいけないこともあった。
プライドの高い社員を叱る時にはまずこう言ったという。

 君は、私の子どもよりもさらに若いのだから、自分の子どもだと思って叱るぞ。

親が子を諭すように倫理を説く。
この愛情が浸透した時、ピンチはすでにピンチではなくなっていた。

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三島邦彦 13年4月14日放送



ピンチ! 石川直樹

北極でシロクマに出会ったら
ライフルを撃たなければいけない。
シロクマにではなく、空に向かって。

冒険家、石川直樹。
世界中を旅してきた彼にとっても、
その緊張感は特別なものだった。

ぼくはシロクマと向かい合った瞬間のびりびりするような緊張感が忘れられません。
いま見ている世界が、世界のすべてではないということを思い出させてくれるこのような
瞬間を一つ一つ蓄積していったとき、人はどんなところにいても“世界”を感じることが
できるようになるでしょう。

忘れられない瞬間を求めて、
彼はまた、新たなピンチへ旅をする。

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三國菜恵 13年4月14日放送



ピンチ! 清水宏保

スピードスケートの金メダリスト・清水宏保。
彼はプレッシャーと上手に付き合う
プロフェッショナルでもある。

98年、長野五輪のとき
清水は大会1週間前から
胸を締め付けられるような感覚に襲われた。

しかし、このプレッシャーから
ラクになれる方法を見つけたという。

プレッシャーに苦しんでいる自分を
客観視できるようになったんです。
もう一人の自分を宙に浮かべて、
苦しんでいる自分を主人公にした物語を読んでやる。
すると、ふっと冷静になれます。

いまがどんなに辛くても、
それは物語の一部の、辛いワンシーンにすぎない。
そう考えると、たしかにすこし、ラクになる。

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三國菜恵 13年4月14日放送



ピンチ! 寺尾(てらお)

身体は小柄。
けれど、気っぷのよい相撲をとることで
人気を博した力士・寺尾。

彼の強さの秘訣は、
日々の稽古はもちろん、妻からのサポートが大きかったという。

1997年3月場所。
寺尾は足の親指を骨折。
休場をやむなくされた。

1359日つづいた連続出場記録がストップ。
しかも、歳はすでに34歳になっていた。
このタイミングでのケガは
「引退」と思われても仕方がなかった。

この焦りをひとりで抱えきれなくなった寺尾は、妻に電話。
すると、こんなひと言が返ってきた。

 「あっ、そう。また頑張ればいいじゃない」

この言葉を期に、
寺尾は頭を切り替えてリハビリに専念。
そして、4年後の38歳、再び土俵に帰ってきた。

ピンチは、ひとりで乗り越えなくてもいい。
誰かと分け合えば、フッと消えることもあるのだ。

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三國菜恵 13年4月14日放送



ピンチ! 谷村新司

思い通りにいかないことがつづくと、
つい、イライラ。

そんなときには、
副交感神経の働きを高めるとよいとされている。
そのときに有効なのが、深呼吸。

歌手・谷村新司は
歌手ならではの視点から
いい呼吸の仕方をこう説いている。

「呼吸」の「呼」とは息を吐き出すこと。
「吸」は字のごとく吸うこと。
つまり「呼吸」とは、まずは息を吐きだすことから始めるものなんです。

無理に呼吸を整えようとせず、
肺にある息をフーッと吐き出すだけ。
そうすれば、こころもからだも、自然と落ち着きを取り戻す。

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三國菜恵 13年4月14日放送



ピンチ! トーマス・カーライル

あんなことしなければよかった、と
人は過去の失敗を責めてしまいがち。

そんな人間たちに、
イギリスの歴史家トーマス・カーライルは
こんな言葉をのこしている。

 失敗の最たるものは、失敗したことを自覚しないことである。

自覚があれば、それは失敗ではない。
「糧」と呼ばれるものに変わっているのだ。

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佐藤理人 13年4月13日放送



ブリア・サヴァラン①「稀代の美食家」

18世紀のフランスの法律家、
ブリア・サヴァラン。

優れた解剖学者であり、
文学者、人望の厚い政治家、
プロのヴァイオリニストでもあった彼を
最も有名たらしめたもの。

それは鋭敏な味覚をもつ食通としての顔だった。

彼は自らの豊富な食体験を
「美味礼讃」という一冊の本にまとめた。

これは料理本でも栄養学の本でもない。
食べるという行為と
それがもたらす幸福のすべてを、
科学的・哲学的に解明しようした
人間探求の書である。

彼は言う。

 新しいごちそうの発見は
 人類の幸福にとって
 天体の発見以上のものである。

本当の幸せなんて意外と、
目の前にあるものです。

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佐藤理人 13年4月13日放送



ブリア・サヴァラン②「美味学」

 人民の運命は宴会で決まる。

フランスが生んだ世界的食通、
ブリア・サヴァランは言った。

昔、戦争をはじめ重要な議題は、
食卓で協議されるのが常だった。

空腹のときと満腹のときで人は変わる。
食は交渉を容易にするための
立派な政治の手段だった。

さらにそれは、
栄養や保存法を研究する科学であり、
美味しく調理する技術であり、
国家の貿易を左右する経済でもあった。

食にまつわる知識を体系づけて
整理した学問を「美味学」と言う。

サヴァランは著書「美味礼讃」により、
美味学の真髄を王や貴族たちの厨房から
庶民の食卓へ解放した。

真のグルメは大人の隠れ家ではなく、
家庭の食卓にこそ存在する。

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佐藤理人 13年4月13日放送



ブブリア・サヴァラン③「チョコレート」

チョコレートの栄養価の高さは、
18世紀すでに広く知られていた。

フランスの食通ブリア・サヴァランは、
著書「美味礼賛」の中でチョコレートを特に、

 飲み過ぎた人、寝不足の人、
 ぼんやりする人、悩める人、
 気が滅入る人

に勧めている。

理由は、どれも悲しみが
少しずつ混じっているから。

さすがフランスきっての食通。

チョコレートが体だけでなく、
心の回復にも効果があることを
ちゃんとお見通しなのでした。

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