ブリア・サヴァラン④「グルメの定義」
辞書をひいても
グルメの意味は載っていない。
18世紀フランスの美食家
ブリア・サヴァランは言った。
辞書制作者は
あの優雅で繊細な快楽をご存知ない、と。
彼の考えるグルメ、
フランス語で「グルマンティーズ」の定義。
それは、美味しい物を
情熱的・理性的に愛し続ける心。
健やかな肉体と旺盛な食欲は、
国を潤し、経済を動かし、
ときには一国の命を救うことさえある。
1815年。ナポレオン戦争で勝利を収めた
ドイツ、イギリス、ロシアなどの戦勝国は、
フランスにこぞって多額の賠償金を要求した。
一時はフランスの命運もここまでかと思われた。
しかしすっかり美食の虜になった
戦勝国の兵隊たちはパリの街で連日、
大量のワインやご馳走を平らげた。
結果、フランスは支払った以上のお金を
すっかり回収してしまった。
サヴァランは言う。
国の盛衰はその食べ方にかかっている。
美味しい物を愛する気持ち。
国でも家庭でも、
その効力にきっと違いはありません。