佐藤理人 13年5月11日放送
数学者のスイッチ②「ハミルトンと橋」
1843年のある日。
数学者ウィリアム・ハミルトンが
近所の橋を渡っていると突如天啓が訪れた。
四元数
という新しい代数の概念を思いついたのだ。
感動のあまり彼は、
数式をナイフで欄干に刻みつけた。
しかしこの理論は難解すぎて、
理解できる人は誰もいなかった。
10歳で10ヶ国語を話し、
ニュートンの再来
と呼ばれた彼は
残りの人生をその研究に費やしたが、
ついに理解されることなくこの世を去った。
彼の理論が役立ったのは、
それから150年も後のこと。
ロボットや宇宙船を制御する
コンピュータグラフィックスに欠かせない、
遥か未来のアイデアだったのである。