茂木彩海 13年5月19日放送
Roger McLassus
緑のはなし 関野吉晴が見た緑
探検家、医師、美術大学教授。
3つの顔を持つ男、関野吉晴。
アフリカで生まれた700万年前の人類が
どのように世界へ広がっていったのか、
その道すじをたどる旅「グレート・ジャーニー」を
約10年もの歳月をかけて達成した。
その旅の途中、関野はある光景と出会う。
アラスカを先住民と犬ぞりで移動していた時、
真っ白な雪景色の中に、一点の緑が見えた。
近づいていくとどうやら1本の木であるらしい。
その木の目の前まで来たとき、先住民たちがみな
おもむろに犬ぞりから降り、その木に向かって拝みはじめた。
薪にすれば体を暖めてくれること。
食べるためのトナカイたちを育てくれること。
過酷な雪から身を守るための家が建つこと、
生きるためのすべての源がこの緑であることを感謝していたのだった。
関野は言う。
今、地球上に存在するすべての生命が奇跡なんです。
そして、それを感じることができるのは人間だけなんです。
緑を全身で感じる。
それだって立派な奇跡のような出来ごと。