佐藤延夫 13年6月1日放送
野心家なのか。
臆病者か。
策略家なのか。
それともただの優柔不断か。
江戸幕府、最後の将軍、徳川慶喜。
彼ほど評価の分かれる人物もなかなかお目にかかれない。
戊辰戦争で敗れ、新政府軍が実権を握ると、
慶喜公は、今の静岡県、駿府に移った。
そして彼は、趣味に生きた。
そのひとつが、写真だった。
清水の波止場、農民の姿、のんびり座る猫、鉄橋を走る列車。
舶来物の写真機を手に入れ、
自由気ままに被写体を探したという。
ただ時代が許してくれなかっただけで、
もしかしたらこれが、彼の望んでいた生き方だったのかもしれない。
今日は写真の日。
ファインダーの向こうに、何が見えますか?