2013 年 6 月 のアーカイブ

三島邦彦 13年6月15日放送



その男、チェ・ゲバラ

革命家チェ・ゲバラは医者だった。
幼いころにぜんそくを患った
経験から医学を志した。
若き日の南アメリカ縦断旅行の途中でも、
それぞれの土地の医療の在り方を観察した。

キューバでの革命を成し遂げた後、
医学生に向けての演説で、ゲバラはこう語った。

医者というものは、世の中で何が起きようと
絶えず患者のそばについていて、
患者の心理状態を深く知り、
痛みを感じとりそれを癒す者の代表である。

人の痛みを知ろうとする姿勢。
革命家になってもゲバラはそれを忘れなかった。

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三島邦彦 13年6月15日放送


Paul McAlpine
その男、チェ・ゲバラ

キューバ革命が成功し、
チェ・ゲバラは革命の象徴になった。
自分がキリストのように崇拝されることに関して、
ゲバラはこう言った。

僕はキリストじゃないし、慈善事業家でもない。
キリストとは正反対だ。正しいと信じるもののために、
手に入る武器は何でも使って闘う。
自分自身が十字架などにはりつけになるよりも、
敵を打ち負かそうと思うのだ。

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三國菜恵 13年6月15日放送


Paul McAlpine
その男、チェ・ゲバラ

革命家というのは、
その行動の大胆さから
荒々しい性格なのではないかと
つい思いがちだけれど、

キューバ革命を成功させた チェ・ゲバラは、
実に慎重な姿勢の持ち主だった。

彼は、著書『革命戦争の足跡』の中で、
革命の記録をつづるにあたり、こんな心がまえを示している。

私たちが唯一願うこと、
それは物事の語り手が真実を述べることだ。

自分の教養と才能に従って、
自らのやり方で原稿を数枚書いたら、
できる限り厳しく自己批判をしてほしい。

そして、厳密には事実でない箇所、
完全なる真実という確信が持てない部分を
全て削るのだ。

こうした気概をもって、
我々は記憶の記録を始めることにしようではないか。

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三國菜恵 13年6月15日放送



その男、チェ・ゲバラ

革命家 チェ・ゲバラ。
彼のポートレイトは若者たちのTシャツのモチーフになるほど、
その顔が、現代風に言うところの
“イケメン”であったことも知られている。

彼が妻と新婚旅行に行った時。
旅先のチチェインツァーという場所で
あるハプニングが起こる。

2人は映画の撮影現場に遭遇。
野次馬としてのぞき込んでいたら、
こどもたちがゲバラを映画スターと勘違いして
サインを求めてきたのだ。

困ったゲバラ。こんなことばで切り抜けた。

「僕は忙しいんだ。」

夢を壊してはいけないと、
映画スターを気取ってじょうずに断った。
その行動に、彼の人格がうかがえる。

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三國菜恵 13年6月15日放送


Paul McAlpine
その男、チェ・ゲバラ

革命家でもあり、医師でもあったチェ・ゲバラ。
彼には、とりわけ気にかけていた患者がいた。

マリーア婆さん、というぜんそく持ちの患者。
昼夜を問わず彼女のために病院へ駆けつけ、
その熱心さは、妻も首をかしげるほどだった。

なぜそんなにもゲバラは彼女を放っておけなかったのか。
その生涯をひも解くと、見えてくる。

マリーア婆さんは
生涯、洗濯屋として働き、
たった一人の娘と、孫を数人だけをのこして
貧しくこの世を去ろうとしている人だった。

彼女の姿はゲバラの目に、
最も忘れられ、最も搾取された階級の
生きる証人のように映っていた。

彼女の死を経て、ゲバラは世界を変えようと奮起する。

生涯君の希望を裏切り続けたひどい神様には祈らないでいい。
君の孫たちは皆幸せに生きることを、
僕は約束します。

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1歳1カ月の育児の話し。

連日の熱帯夜。
着々と成長する1歳児。
当然ですが、日に日に寝相が悪くなります。

すーさんは未だおっぱいっ子ですので、
寝た直後は当然ですが母と平行です。
フォーメーションは「Ii」です。
寝がえりをくり返すうちにじわじわと
カタカナの「ト」になったかと思うと
「T」になったり「⊥」になったり。
(縦が私です念のため)

夜中にふと目覚めて隣を見ると、すーさんがいない!
え?!どういうこと?!
慌てて起き上がると枕の向こう側に転がっていたり。
足元に突っ伏していたり。
なぜそこに?という場所にいます。

ちなみにこの頃はベッドで川の字に寝ていたのですが、
柱の関係で、ベッドのあしもとと壁の間に
ちょっとだけ隙間がありました。
(図1)

ある蒸し暑い夜、いつも通り寝苦しそうに
ごろごろ、ごーろごろ、転がっていたすーさん。
勢いがついて、ごろごろごろごろっと一気にベッド上を転がり
すぽーん!
壁とベッドの間に見事にはまりました。
(図2)

はまった瞬間に目が覚めたようで、
一瞬きょとんとしてから号泣。
おかあさんもビックリしたよ。

ビックリしつつも、珍しいもの見れたー
というくらいの気持ちでいたのですが、
それからしばらく経ったある夜。

「ぴにゃーー」
すーさんの泣き声で目を覚ますと隣にいない。
今日はどこだ?
と見ると、なんと、またしても例の隙間です。
しかも。今度は頭からすっぽり。
犬神家!!
(図3)

おおっ!
これにはかなりビックリしました。
慌てて引っこ抜き、慌ててベッドを封印。
慌てて布団に切り替えました。

小さなお子さまがいるおうちには、
やっぱり布団が良いですね。
って、多くの人は痛い目を見る前に
気づいていると思うけど・・・

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佐藤理人 13年6月9日放送


Paul McAlpine
ロックの日①「イギー」

パンクのゴッドファーザー

ことイギー・ポップは、
パンクのイメージとは程遠い男だ。

高校時代は優等生で大学にも進学。
音楽を始めるにあたっては、
どうすれば他のバンドと差別化できるか
を徹底的に研究した。

ロックンローラーである前に、
彼は優秀なマーケッターだった。

彼が結成したバンドは

Stooges(愚か者たち)

という。

本当に賢い者だけが、
愚か者のフリをできる。

今日は6月9日、ロックの日。

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佐藤理人 13年6月9日放送



ロックの日②「レノン」

僕らはキリストより人気がある。

ジョン・レノンのこの発言は大いに物議を醸した。
レコードは焼かれ、ラジオ局は
ビートルズの曲をかけるのをやめた。
コンサートでは演奏中に爆竹が鳴らされ、
何度も「殺す」と脅された。

この発言には、実は続きがある。

ロックンロールとキリスト教と
どちらが先に廃れるかはわからない。
キリストの弟子たちが
キリスト教を墜落させてしまった。

彼が本当に言いたかったのは、
それが残るかは、始めた人より、
受け継いだ人にかかっているということ。

ビートルズが解散してから約40年。

彼らの弟子は今日も世界中で
ロックンロールを布教し続けている。

今日は6月9日、ロックの日。

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佐藤理人 13年6月9日放送



ロックの日③「スプリングスティーン」

アルバムの発売を延ばすべきか否か。
ブルース・スプリングスティーンは迷っていた。

いよいよ彼の時代が来る。
そんな声も聞こえる中で発表する3枚目は勝負の一枚。
失敗は許されない。

曲はすべてできている。
しかし頭の中で鳴っている音にどうしてもならない。
なんといっても目標はビートルズの「Let it be」なのだ。
半端なことで妥協するわけにはいかなかった。

高まる周囲の期待と自らの完璧主義の間で
スプリングスティーンは揺れた。
そして遂に覚悟を決める。

 発売日は一時だが、レコードは永遠だ。

発売日どころかツアーまで延期し、
自分の欲しい音を徹底的に追求する、
この姿勢こそ正にロック。

完成したアルバム「Born to run」は
「ローリング・ストーン誌が選ぶベストアルバム500」
において18位を記録する。

自らの予言通り、彼は見事永遠を手に入れた。

今日は6月9日、ロックの日。

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佐藤理人 13年6月9日放送



ロックの日④「キース」

 ロックンロールは
 上等のワインみたいなもんさ
 年を食うほど味が良くなっていくんだ

ローリング・ストーンズのギタリスト、
キース・リチャーズは言った。

スキャンダラスな言動が
話題になることも多い彼ら。

しかしその根底にあるのは、
デビューから半世紀以上経つ今でも、
ラベルより中身で勝負し続ける自信と勇気。

彼らのロックは、
これからもっと美味しくなるだろう。

今日は6月9日、ロックの日。 

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