佐藤理人 13年7月20日放送



アポロ③「ブラウンとアメリカ」

ナチスの敗北を予見するのに
ロケット工学の知識は必要なかった。

ドイツのロケット開発チームの責任者、
ウェルナー・フォン・ブラウンの
関心事はただ一つ。

 つくべきはアメリカか、それともソ連か。

宇宙に行く夢を叶えてくれるのは
どちらの戦勝国か、彼は冷静に計算した。

基地を死守せよという命令に逆らい、
大量の機材、設計図、技術者たちを
彼は秘かに脱出させる。

ラジオがヒトラーの死を報じた二日後、
アメリカは世界最高のロケット技術と
その頭脳を確保した。

戦後、

 宇宙旅行の亡者

と揶揄されながらも
ロケットを開発し続けたブラウン。

彼の祖国はもはや、
ドイツではなく宇宙だった。

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