眠りの話 五代目古今亭志ん生と酒
20世紀の落語界を代表する
名人と称される五代目古今亭志ん生。
無類の酒好きとしても有名だった。
関東大震災発生時には、
「酒が地面にこぼれるといけない!」と言って、
真っ先に酒を買いに走ったくらいである。
酒に酔って高座に上がったこともある。
真っ赤な顔に、怪しい呂律、挙げ句の果てには、
うつらうつらと居眠りすることも。
当然、噺は支離滅裂。だが、
その見たこともない姿が笑いを誘い、
当日客の拍手をいちばん浴びたのは志ん生だったという。
それは酒の力さえも芸に変えてしまう、
五代目志ん生の名人芸だったのかもしれない。