藤本宗将 13年7月27日放送
F1-history
眠りの話 シューマッハのスタート
1991年8月23日、F1ベルギーグランプリ初日。
ひとりのドライバーが、念願のF1デビューを迎えていた。
ピンチヒッターとして突然転がり込んできたビッグチャンス。
しかし、緊張のピークであるはずの予選スタート前、
この新人はとんでもないことをやらかした。
当時のチームマネージャーはこう証言する。
「これから神経を研ぎ澄ませてタイムアタックしなければならないのに、
この男はとてもリラックスしていたんだ。
コクピットで居眠りする奴なんて聞いたことがない!」
だが本当に驚くのはスタート後だった。
下見もろくにしていないコースを彼はこともなげに攻略。
決勝こそリタイヤに終わったものの、
目の覚めるような走りで関係者の度肝を抜き、
わずか一戦でトップチームに引き抜かれた。
ミハエル・シューマッハ22歳のデビューレースであった。