「夏の職人」花火師 野村陽一
夏の夜空に咲く大輪、花火。
数々の全国花火大会で優勝を勝ち取ってきた
野村花火工業・社長の野村陽一。
花火は打ち上がって、
開いて燃え尽きるまでたった5秒。
その5秒のために1年を費やす。
一切の未練を残さず、鮮やかに散った時にこそ、
花火は見る者の心に永遠に焼き付くのです。
野村は花火の魅力を「潔い人生」のようなものだと言う。
「夏の職人」花火師 野村陽一
夏の夜空に咲く大輪、花火。
数々の全国花火大会で優勝を勝ち取ってきた
野村花火工業・社長の野村陽一。
花火は打ち上がって、
開いて燃え尽きるまでたった5秒。
その5秒のために1年を費やす。
一切の未練を残さず、鮮やかに散った時にこそ、
花火は見る者の心に永遠に焼き付くのです。
野村は花火の魅力を「潔い人生」のようなものだと言う。
tangerinaok
「夏の職人」風鈴職人 篠原儀治(よしはる)
夏の涼を耳から感じる風鈴。
丸いガラスに鮮やかな色で
絵付けがしてある「江戸風鈴」は、
その呼び名がついたのは、
1965年頃だったという。
名付け親は、江戸川区の無形文化財保持者でもある
篠原儀治(よしはる)。
江戸時代から伝わり、
今もここ東京で受け継がれていることから、
つけた名前です。
よき時代の風雅を楽しまれることをおすすめします。
もともとは江戸風鈴は、赤いガラスでつくられていた。
そこに宝船や松の絵が描かれていた。
裏側には米俵が一俵。
米俵は庶民にとって夢の夢。
大金が入ったら米俵を買おうと願う。
かつての風鈴は、涼だけでなく夢も奏でていたのだ。
「夏の職人」加賀小紋染 坂口幸市
今年は、男性のゆかたが売れているという。
そのゆかたにも使われる、
型紙を使って手染めの小紋をつくる技法。
石川県に一軒だけ残る坂口染工場の職人、
坂口幸市は二枚白小紋という染めを継承した唯一の存在だ。
1つの模様を2つの型紙に彫り分け、
重ねて二度、型染めをし、1つの模様に染める。
濃淡のある繊細緻密な小紋ができある。
着物として着たときの姿を創造し、
柄の組み合わせや色の濃淡をつけて作っています。
彫りの職人さんと相談しながら、
新しい物を発見できないかと常に考えています。毎日が勉強です。
型紙は、伊勢型紙。
坂口は明治・大正・昭和初期につくられた型紙を使っているが、
今でも新しい紋様を考案している。
型紙染め職人が減り、型紙の彫り師も減っているという。
日本の夏を上品に染めあげる小紋が、なくなりませんように。
「夏の職人」駿河塗下駄 佐野成三郎
夏祭り。
浴衣と下駄で出かける人も
多いでしょう。
漆器の技術を応用した駿河塗下駄には、
美しい蒔絵が施されている。
その職人は現在5人。
塗下駄職人・佐野成三郎は、
今、塗下駄の魅力を全国に広めようとしている。
下駄は和服という観念があるが、
ジーパンやスカートにも合うよう、現代風にしてある。
若い人に履いてもらいたい。
カランコロンと足音響かせて、
お洒落な下駄で、熱い街に出かけてみよう。
ichigami
「夏の職人」四代目氷屋徳二郎 山本雄一郎
口に入れると、すっと溶けてなくなる。
フワフワのかき氷。
冷蔵庫の氷では、この食感はつくれない。
天然のだからこその食べ心地。
自然の寒さで凍った氷は、ほんのりと甘い。
かつて日光では、製氷業が盛んだった。
今ではわずかしか残っていない。
そのうちの一軒の氷屋徳二郎も
先代が高齢のため2006年に
製造を打ち切ろうとしていた。
しかし、日光の文化を残したいと強く思った
山本雄一郎は、引き継ぎたいと申し出た。
先代は振り返る。
この仕事はとても無理だから、やめたほうがいいと断った。
でも、継がせた。しつこかったからね。
天然の氷には線が入る。
夜から朝にかけて凍ったしるし。
次の線ができるのは、
また次の夜から朝にかけて凍ってからだ。
一晩かけてじっくりと凍る。
山本のしつこさに近い。
「夏の職人」金魚職人 深見光春
夏祭りで、最近は見かけなくなった金魚すくい。
愛知県弥富(やとみ)市は、金魚の一大産地だ。
スペースシャトルに乗った「宇宙金魚」も弥富の産。
深見光春は、その地で養魚場を営む金魚職人。
新品種・桜錦を生み出した。
最初は、良質な江戸錦を産出しようと思ってたんですよ。
桜錦のような金魚を最初からつくろうと思ったわけではない。
でも固定化できた。
新品種の生まれにくい金魚。
偶然から生まれて、
なんども掛け合わせを重ねた。7年かかった。
自然の偶然を人間が必然に変えたのだ。
よっちん
「夏の職人」うちわ職人 高出雅之(たかいでまさゆき)
夏、街で広告入りのプラスティックのうちわをもらう。
便利なのだけれど、自分用の特別なうちわを持ってみたい。
日本三大うちわ、香川県の丸亀うちわは、
柄と骨が一本の竹でできているものが多い。
高出雅之(たかいでまさゆき)は、竹骨だけをつくる骨師だ。
通常よりも細かく割く「小割」という技術を使う。
しなりが格段に違うという。
うちわは、機能美。絵柄や形だけでなく、
あおいでみた感触、しなりで選んでほしい。
職人の手によるうちわは、竹骨だけでもオブジェのように美しい。
「夏の職人」桶職人 田上定行(たうえ さだゆき)
夏の暑い朝、打ち水をする。
昔ながらの日本の習慣。
ヒートアイランド現象で、打ち水が見直されている。
ならば、ホースやバケツで水を流すのではなく、
昔ながらの手桶で撒いてみたい。
木曽の桶職人、田上定行の打ち水手桶は、
天然の木曽さわらでつくられている。
彼のこだわりは、
一つの桶を一本の木からとった材料でつくること。
さわらの木は不思議な木で、
同じ種類でも色や硬さなどにばらつきがある。
異なる木からとった材料で作ってしまうと、見た目もよくない。
使っているうちに、ゆがみがでてきてしまうことがある。
木の個性を見極めて、桶をつくる。
だから長く使ってもらえる桶になる。
田上の桶で撒く水は、きっと自然の清流に近い。
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