カムバック! 長谷川四郎
満州鉄道に勤め、軍人となり、
やがて捕虜となった後、帰国して作家になった。
名前は、長谷川四郎。
ソ連軍の捕虜として、
5年にわたるシベリア抑留から帰ってきた長谷川は、
大陸での体験をもとに小説を書いた。
代表作、「シベリア物語」、「鶴」。
大陸の風物を冷静な観察眼で描いた作品には、
それまでの日本文学の誰にも似ていない新鮮さがあった。
40歳を過ぎてのデビュー。
遅れてきた新人作家としての意気込みを聞かれた長谷川は、
こう答えている。
かえりみるに、むかしからぼくは、残念ながら、
自分のなりたかったものになったためしがないのだ。
こんどだってあやしいものだ。
かまわない。サイコロをふってみよう。ない目は出ないにきまっている。