帰りたくなる話 石川啄木
石をもて 追はるるごとく ふるさとを 出でしかなしみ 消ゆる時なし
石川啄木にとって、
ふるさとである岩手県渋民村は
帰りたくても帰れない場所。
村を巻き込んだ争いで
一家は追われるように村を離れたのだ。
帰れないからこそ郷愁は募る。
かにかくに 渋民村は 恋しかり おもひでの山 おもひでの川
そんな啄木の思いが叶ったのは、亡くなって10年後のこと。
「地元に啄木の歌碑を」という声が高まり、
渋民公園に最初の歌碑が建てられたのだ。
やはらかに 柳あをめる 北上の 岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに
啄木の目に浮かんだ北上川の岸辺。
思い出の川を見下ろす丘の上に、その歌碑は立っている。