佐藤延夫 13年9月1日放送
遅咲きの人 松本清張
15歳、電気会社の給仕。
19歳、印刷会社の見習い職人。
28歳、新聞社に入る。
44歳、芥川賞を受賞。
そしてこの男、松本清張の作家生活が始まったのは、
47歳のときだった。
小説家として世に出るのが遅かったから。
ただそれだけの理由で、
趣味に見向きもせず、
酒にも翻弄されず、
時間と競争するように執筆を重ねていった。
「巨匠とは何ぞや」という問いに対して、
いかに長い時間、原稿用紙に向かっていられるかだ、と
答えたそうだ。
およそ40年の作家活動の間に、
作品は1000編を超え、
著書は700冊にも及んだ。
人生の花が、いつ咲き誇るのか。
それは誰にもわからない。