佐藤延夫 13年9月1日放送
遅咲きの人 本居宣長
学問をするうえで最も大切なのは、継続すること。
そのためには、生活を安定させるべき。
人類の永遠のテーマとも言えそうな、
時間と生活の管理を実践した人は、200年前にいた。
江戸時代の国学者、本居宣長だ。
近所や親戚との付き合い方や、
時間の作り方、支出を減らす方法などを
マニュアル化した資料が膨大に残っているそうだ。
彼が「古事記伝」を書き始めたのは34歳のとき。
全44巻が完成したのは68歳で、
その3年後に亡くなっている。
一切無駄のない人生だ。
されば才のともしきや、学ぶことの晩(おそ)きや、
暇(いとま)のなきやによりて、思ひくづれて、止むことなかれ
才能がないから。始めるのが遅かったから。時間がないから。
そんな言い訳の虚しさは、200年前に証明されている。