2013 年 9 月 8 日 のアーカイブ

中村直史 13年9月8日放送



変えようとする人たち 山口絵里子

「社会起業家」という言葉がある。
社会が抱える問題を、事業を通じて解決していく人。
そういう意味だ。

日本人の社会起業家として、よく取り上げられている人物に
「マザーハウス」代表の山口絵里子さんがいる。

アジアの中で最も貧しいとされるバングラデシュの
貧困問題をなんとかしたいと、現地にバッグのブランドを立ち上げた。

バングラデシュの人々が、バングラデシュの生地でつくりあげ、
世界中に販売し、外貨を得る。
社会を良くすることと、ファッションのもつ「かわいい」という
気持ちを両立することを目指す。

そんな山口さんは、自分が「社会起業家」と呼ばれることに
大きな違和感を感じている。

 なぜ「社会」と付けなければならないのかが、分からないんです。
企業は社会のためにあるべきだし、そうじゃない企業はマーケットの中で、
生き残るのが難しくなっていくと思います。

どんな会社だって、社会に役立つためにある。
そう考えると、だれもが社会起業家なのですね。

topへ

中村直史 13年9月8日放送


kimama_labo
変えようとする人たち 杤迫篤昌

アメリカの移民をとりまく現状を変えたい。
杤迫篤昌(とちさこあつまさ)さんの切実さの裏には、苦い思い出があった。

若いころ、メキシコの友人宅に食事に招かれた。
帰り際、その家の子どもがいった。
「つぎはいつくるの?来てくれたおかげで、半年ぶりのお肉が食べられたから」
杤迫さんは答えた。
「あれ、肉なんかあったっけ?」
スープに浮かんだ小さな肉のかけらに気づいていなかった。

たったそれだけのやりとりが、何十年も気になっていた。

50歳で、長く勤めた銀行を退職。
「マイクロファイナンス・インターナショナル」をたちあげた。
アメリカの移民労働者が、
格安の手数料で本国へ送金できるようにした、
はじめての金融会社だった。

topへ

中村直史 13年9月8日放送


Enid Yu
変えようとする人たち 山本繁

ニートや引きこもりの若者の役に立ちたい。
山本繁さんは、そんな思いから、次々とプロジェクトを立ち上げた。

漫画家志望の若者に格安の住居を提供したり、
「オールニートニッポン」というラジオ局で、
メッセージを発信したり。

活動を続けるうち、
ニートや引きこもりになるのを「防ぐ」ことが大切だと気がついた。
そこで「日本中退予防研究所」を設立。
大学や専門学校とタッグを組み、
日本の中退者の数を半減させようと奮闘している。

topへ

中村直史 13年9月8日放送


m.joedicke
変えようとする人たち 工藤啓

やる気がない。働く気がない。
だから、ニートや引きこもりになる・・・
それは違う、と工藤啓(くどう・けい)さんは考えた。

人間関係に自信がない。働くための技術がない。
理由は、たぶん、ひとりひとり違う。
けれど、働きたくないわけじゃない。
社会への一歩を踏み出すための場所やきっかけがあれば、
きっと何かが変わるはず。

そんな思いから工藤さんが始めたのが、NPO法人「育て上げネット」。

いろんな「働く」を体験する、「ジョブトレ」をはじめ、
引きこもりの方の家族を支援するプログラムまで。
悩む若者たちが、どうやれば社会人とし自立していけるか
具体的なプログラムが、きめ細やかに用意されている。

「やりたいこと」を仕事にして、自己実現をしなければならない。
そんな風潮が嫌です。仕事してみたら、案外楽しかった。
そのくらいでいいと思うんです。

まずはやってみる。
その「まずは」という、なにげに大きな壁を、
工藤さんたちは壊そうとしている。

topへ

三島邦彦 13年9月8日放送


University of Salford
変えようとする人たち ムハマド・ユヌス

すべての社会起業家にとっての憧れであり心の支え。
グラミン銀行総裁、ムハマド・ユヌス博士。
27ドルのポケットマネーを42人の農民に貸した彼の行動はやがて、
1000万人に及ぶ人々の希望や未来を支える、世界最大の少額融資事業となった。

無私無欲のビジネス。ユヌス博士はそれをソーシャルビジネスと呼ぶ。
ノーベル平和賞を受賞後、2009年に来日した博士は、日本の若者たちにこう語った。

人間は金を生みだす機械ではありません。
人間は世界を変えることができるのです。

貧困を生まない新しい資本主義を作る。
その遥かな目標に向け、ユヌス博士のソーシャルビジネスは、
世界を少しずつ変えようとしている。

topへ

三島邦彦 13年9月8日放送



変えようとする人たち アンドレアス・ハイネッケ

相手の立場に立つ。
対立をなくすための最もシンプルで、最も難しい方法。

ドイツの哲学博士、アンドレアス・ハイネッケは、
健常者と障がい者の関係を変えるため、
「ダイアログ・インザダーク」というイベントを発明した。

会場は暗闇。わずかな光も存在しない。
1回につき数名に限定された参加者が、
視覚障害を持つナビゲーターに案内されて暗闇を歩く。
恐る恐る足を踏み出しながら前へと進む。
聴覚、触覚、嗅覚、味覚。
視覚が閉ざされることによって、その他の五感が敏感になる。
暗闇の世界に慣れたナビゲーターの確かな足取りが参加者に安心感をくれる。
声を掛け合い、手をつなぐ。
暗闇の中での対話を通して、
ナビゲーターと参加者同士の間に、あたたかな連帯が生まれる。
ハイネッケはこう語る。

そばにいる誰かは、あなたを助けてくれる人なのです。

ダイアログ・インザダーク。
その暗闇の中ではすべての人が平等で、すべての人がやさしい。

topへ

三島邦彦 13年9月8日放送


Global X
変えようとする人たち ビル・ドレイトン

ガンジーに憧れる19歳の青年が、
旅行先のインドで目の当たりにしたのは、
貧富の差に苦しむ人々だった。

すぐなんとかしたいと思ったが若くて何もできない。
政府はすぐには動かない。
新しい仕掛けが必要と痛感した。

青年の名前はビル・ドレイトン。
その旅から18年の時を経て、
アショカ財団という組織を作り、
世界中の有望な社会起業家を支援している。

世界を変える人を育てる。
ドレイトンは今、「社会起業家の父」と呼ばれている。

topへ

三島邦彦 13年9月8日放送


overviewasl
変えようとする人たち 大木洵人

インターネットを通じた遠隔手話通訳や
オンライン手話辞典など、
手話とテクノロジーを結びつけることで
手話の世界に革新をもたらしている企業、「シュアール」。
その代表、大木洵人(おおきじゅんと)を突き動かしているものは、
聴覚障害に対する社会的な不平等への嫌悪だという。
彼は語る。

人間はもともと不平等。
だからこそ、すべての人たちにチャンスは
平等に与えられるべきだと思っています。

topへ


login