堀辰雄と周辺の人々①
死があたかも一つの季節を開いたかのようだった。
という一節で始まる、堀辰雄の処女小説『聖家族』。
ここで語られる死とは、小説家芥川龍之介の死である。
高校在学中、堀辰雄は室生犀星を通じて
芥川龍之介と出会う。
堀は芥川を師と仰ぎ、芥川もまた堀を寵愛した。
しかし、その親密な関係も長くは続かない。
ふたりが知り合って4年後、
突然芥川は自らの命を絶つ。
芥川の死を受け入れ、芥川との日々を刻印するために
堀が執筆したのが『聖家族』。
芥川の死によって、小説家堀辰雄は誕生した。