蛭田瑞穂 13年9月14日放送
堀辰雄と周辺の人々④
堀辰雄の代表作『風立ちぬ』のタイトルは
フランスの詩人ポール・ヴァレリーの
詩の一節から取られている。
Le vent se lève, il faut tender de vivre.
風立ちぬ、いざ生きめやも
「生きめやも」とは「生きなければならぬ」の意味。
これは堀辰雄自身の生涯の課題でもあった。
堀が24歳で発表した処女作品集『不器用な天使』。
そこに収録された詩「病」はこう詠い出される。
僕の骨に止まってゐる 小鳥よ 肺結核よ
彼は肺結核と闘い続け、生き続けた。
それによって堀辰雄の文学は形づくられたのだ。