佐藤理人 13年9月21日放送
キングの道具箱②「受動態と副詞」
道具箱の一段目には、
普段最もよく使う物が入っている。
作家の場合、それは
語彙と文法
だ。
基本的には手持ちのものを使えばいい。
言葉を無理に飾ろうとすれば、
却って恥をかくだけだ。
ただし、とスティーブン・キングは続ける。
受動態と副詞は臆病者の好物である
言い回しが単純すぎはしないだろうか。
読者に分かりにくいのではないだろうか。
下手な文章の根底には、
大抵この手の不安がある。
しかし実際はどちらも文章を、
複雑で間延びさせるだけに終わる。
彼は言う。
小説はテストやレポートじゃない。
他人の目に自分の文章がどう映るか
なんて気にするべきじゃない。
簡潔に、ありふれた物言いは避け、
自信をもって能動態で書き進めること。
後は読者が勝手に想像してくれる。
それこそ読書の醍醐味なのだから。